妖怪あらわる

2013-06-07 21:57:53

 

さっきまで降ってた雪が、雨になってるで・・・。

シトシトピッチャン、シトピッチャン、シ~ト~ピッチャン♪

 

なんで雨の音が歌になってるねん?しかも『子連れ狼』の。これフラグやろ。絶対フラグ立ってるやろ!

 

ほら、やっぱり向こうから乳母車ついた変なおじさんやって来たで。

萬屋錦之助というよりは笑福亭仁鶴やんか。って事は、「大五郎、三分間待つのだぞ」のボンカレーかい!

ごめん、若い読者さんには分かれへんな(汗)。

 

「そこの娘。ちと火を貸して貰えぬかな。」

話しかけてきよったで。

「タバコに火をつけたいのでござるが。」

いきなり何するねん!僕の目は火と違うやろ。よう見てみ。僕は猫や!

もう、タバコを目にすりつけんといてや。目に根性焼きってシャレになれへんで!

 

あれ?そのタバコ、まだ火ついてへんやんか・・・。

って事は・・・、お前、妖怪『コタオジ』やな。

 

僕、知ってるでえ。如月ちゃんから聞いたことあるわ。

『コタオジねっこの目』っていうチョーマイナーな話でな・・・

 

昔、コタオジっちゅうおっちゃんがおってんな。

コタオジがタバコに火をつけようと思たけど、マッチがない。

ちょうど暗がりに光るもんがあったさかいに、コタオジが、くわえたタバコをその光に近づけたんやて。

 

そしたら、それを見てた人が、「コタオジはん、それ、猫の目やで。」って。

それでもコタオジは、「わかってるわ!猫に灸すえたろと思たんや!」

ホンマ、意地っ張りやろ。

どないして、火のついてへんタバコで灸すえるっちゅうねん!

 

それ以来、そんな、自分の間違いを認めへんで、妙なへ理屈こねてごまかす奴を『コタオジねっこの目』って言うんやって。

お前、そのコタオジやな!

素直に自分の間違いを認めへんから、そんな妖怪に身を落とすねん。

 

よっしゃあ!見切った。

呪文唱えるで。

「枕流漱石!」

あれ?消えへんがな・・・。

あ、そうか。呪文、間違えたわ(汗)。

OK、OK!(;´▽`A``

今度はいける。

「枕石漱流!」

ほら、消えた!やっぱり僕の見立て通りやったな。(ΦωΦ)フフフ…

 

あのな、『コタオジねっこの目』の話は、中国にある昔の話とよく似てるねん。

昔、中国に孫子荊(ソンシケイ)という人がおってな、

『枕石漱流』と言うところを、間違って『漱石枕流』って言うてしまうねん。

これはどういう意味かと言うとな、

孫さんちゅう人は、俗世間に嫌気がさしてな、山にでもこもって隠者になろうかと思ったんやわ。

そんでな、友達にそのことを言おうとして、

「夜は石を枕にして寝て、川の水で口をすすぐような生活しよう」

と言うべきところを、

「石で口をすすいで、川の流れを枕にして寝ようと思う」

って、言い間違えたんやな。

それを聞いた友達にな

「間違ってるんちゃう?」

って指摘されても、

「いやいや、石で歯を磨き、川の流れで、世俗の低俗な話を聞いた耳を洗うという意味だよ」

みたいな言い訳をしたんやって。

 

素直に間違いを認めた方が、よほどかっこええと思うけどな。

意地を張って、理屈こねるのはカッコ悪いでって、

そんな意味を込めて、正しい方の『枕石漱流』って言うてみただけやねんけど、

ちゃんと消えてくれて良かったσ(^_^;)。

 

 

あれ?乳母車が残ってるけど、中から猫の鳴き声が聞こえるで。

うわぁ、如月ちゃん、見てみ。猫の魂、いっぱいやで。

ああ、なるほど、妖怪コタオジは、猫の目にあのタバコをこすり付けて、魂を奪ってたんやな。悪い奴っちゃな。どうせ、自分の妖力を高めるために猫の魂を縛っとったんやろ。

 

如月ちゃん、このヒモ、ほどいてあげて。これで猫ちゃんたち、元の体に魂が戻るさかいに。

いやぁ、嬉しそうに空に舞い上がっていくわあ。

良かったなあ。みんな元気でなぁ~。

 

なあ、如月ちゃん、ええ事した後は気持ちがええな。

 

ところで、妖怪が出てきたということは、もう黄泉の国の入口をくぐったということなんやろか。

 

で、次はどこに行くのん?

えっ?わかれへん?そなアホな・・・。行くあてなしに進むのんか?

一応、お寺に行くまでは分かってるねんな。

そのお寺がどこにあるかが分かれへんと・・・。

 

まぁ、しゃないわ。その内、またフラグ立つやろ。

こうして僕らの旅は、意味ふのまま続くのでした。

 

蛇の姫に続く